鳩子の詩集 - 25    

 

風を起こした日

少年の見たワンピースは、
柔らかい長い一枚の布でできていて、
長い裾は、足にまとわりついては、つかず離れず、
ふわふわと漂っていました。

童話の美女に寄り添う小人たちのように、
足もとから安らぎを与え、
からだはどこまでも軽く、
Aラインの角度に浮かび上がって行くように見えました。

くるりと振り返ると、花びらのように浮かび上がり、
また振り返ると、風が起きました。

少年が初めて風を起こした日でした。