鳩子の詩集 - 22    


武蔵野のほほえみ

 武蔵野のそぞろ歩きは、
 行くあてなどなくて、
 何も考えずに
 風の向くまま歩いて行って、
 分かれ道さえ、通り過ぎてから
 気づくくらいです。

 もしもわたしの人生で
 もっと別の道を歩いていたら
 毎日着飾ったわたしでいられたかも
 しれないなんて……

 それは後悔なんかじゃなくて、
 この先のどこかで、あのとき別れた
 もう一人のわたしとすれ違うような、
 そんなことが本当におこるような、
 不思議な閑かな気配を感じます。

 そしてわたしは、
 ついほほ笑んでしまうの。
 そのほほ笑みは、これから出逢う
 もう一人のわたしへの祝福です。