鳩子の詩集 - 4    


鏡の前で

小さいころ、内緒で叔母のワンピースを着て鏡台の前に立ち、
恐る恐る引き出しから口紅を取り出して、
キャップをはずしてみました。
鮮やかな赤い色と、ほのかな甘い香り。
うっとりして、しばらくぽかんとしていたわたし。
口紅はすぐしまってしまったのですが、あのときわたしが
うっとりしていた時間は、どのくらいだったでしょう。
長かったような、短かったような……。
今、鏡の前でお化粧していると、幼い時代にもどって今までの
人生が入れ替わっていくような、不思議な気持ちになります。