あら、しらじらしや×婆娑羅かな



『稚児之草紙絵詞』の巻末の絵が、
『江戸の色道』(舜露庵主人)という本に
載っていましたが、
セリフ(詞書)の読み方が変に思いました。

学術研究のため、左に同書の挿絵と
その問題の読み方を掲げてみます。


> 僧「うまれてこのかた、見てしたる事はいまだ候わず。
>  よき癖と思し候。あわれ、おわそうかな」
> 童「あらしかじや、さに候いしや、いかなる御事と候ぞ」
>(同書より)

「おわそう」は変な言葉ですし、童のセリフは全体が意味不明。

以前、自分で読んで保存しておいたファイルを見てみました。セリフには「二」「一」と番号があり、一から順に読むわけです。
ベッドシーンの絵で、僧が大きな明るい燭台で照らしている絵です。
きちんと読めば、わかりにくい話ではありません。

一(稚児) あら、しらじらしや。さもしや。いかなる御事ぞ。
二(若僧) うまれてこのかた、見てしたる事はいまだ候はず。
  よきくせ(癖)とおぼえ候。あはれ、御はさら(婆娑羅)かな。

「しらじらし」は古語で、明るいという意味です。「婆娑羅」はいかにも寺院文書の言葉で、常識破りで新しい変わった趣向、といった意味でしょうか。現代風に言い替えてみると、次のようになりますが、これなら、明るい燭台の意味もわかるでしょう。

稚児「ちょっと明るすぎない? いやらしい。どういうことなの?」
若僧「見ながらするのは生れて初めて。クセになりそう。これがニュースタイルさ」

女が暗くしてといい、男が明るいところで見たいというのは、よくある食い違い。
『稚児之草紙』のあらすじの紹介は8月1日に書きました。

コメント

鳩子 : 2012年10月10日 00:59

稚児之草子の読み方については、↑URL のところに書きました。「鳩子」の赤い文字をクリック。

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