わかれ道

元宝塚スターの淡島千景さんの訃報がありました。何日か前にBS放送で樋口一葉原作の映画『にごりえ』を見たばかりでした。宝塚時代は娘役だったので、舞台でトランスすることはなかった人ではありますが。

『にごりえ』という映画は良かったですね。儚いストーリーではあるのですが、女性たちのちょっと威勢の良い下町言葉、江戸落語に出てくるおかみさんたちと同じです。「……じゃないか」とか「……だね」とか、てよだわ言葉に翻訳すると、「……じゃなくてよ」とか「……だわね」になるんでしょう。セリフはだいたい小説と同じでした。

ほかに樋口一葉の短編一つを読んでみました。『わかれ道』です。16歳の吉という少年の、年上の女性に対する初恋と言ってもいいんでしょう。吉は小柄できゃしゃで、捨て子だったのを運良く傘張り職人の家に拾われて育ててもらえたせいか、出世など考えたこともなくて、仲の良いお京さんとずっと親しく友達でいられればいいと思っているわけです。お京は20歳余りで針仕事でなんとか生計を立てていますが、どういう形であれ今の暮しから抜け出したいと思っていたのでしょう。お京がお屋敷へ妾に出ることになって、別れが近づくというお話でした。
男子のほうが保守的だったということでしょうか。吉の生い立ちからすれば、これ以上の出世はぜいたくということなのかもしれませんが。でもイチかバチかということになると、女子のほうが強いのかもしれません。
江戸の人たちは、変なところで度胸だめしをするのは好きですが、みんな出世なんか考えたこともなかったらしいです。
私も子どものころは冒険したりするのは好きでしたが、大人になってからは臆病で、トランスの別れ道ではいつも引き返してばかりいました。

Trackbacks

コメント

< 男女の顔つき・からだつき、50項目 | top | キラリ >