江戸艶本のなかの変生男子

江戸時代の本で『好色変生男子』という本があり、活字になったこともありますが、変ちくりんな題名だと思って、読んでいませんでした。林美一著『江戸艶本を読む』の解説によると、本来は別の題名だったのが、表紙の取れた初版本をもとに再版したとき、題名が変更されたもので、元の題名はわからなくなっているそうです。
そんなわけで林氏の本で、あらすじを読むと、わりと面白そうです。

ある夫婦が紀州の観音様に祈願してやっと子供を授かったのですが、妊娠8か月目に男の子が欲しいと祈願変更したので、観音様は困ってしまいました。そこで大阪の観音様に相談したら、大阪でも祈願変更した夫婦がいて、女の子が欲しいそうなので、大急ぎで大阪の子のおちんちんを取って来て紀州の子に付け替えたんだそうです。
そんなわけで、ぎりぎりのところで男の子として生まれた紀州の子は、大きくなるにつれて、男子の着物は着たがらず、女子のように育って、思春期になるとからだも女子のようになっていったそうです。
子供時代を過ぎてからの話は、見た目は女子だけど中身は男子というふうに変ってしまうのですが、そのへんは荒唐無稽すぎるような気もします。
ラストでは、女として出会った相手の男が、じつは大阪で生まれる直前におちんちんを取られた子で、つまり見た目は男子だけれど中身はおちんちんもなく女子というわけです。二人は相性もぴったりで夫婦になって、めでたしメデタシとなります。見た目の性別と、実際の性別が正反対の夫婦ではありますが……。

ラストでもう一度「付け替え」をするのではないのですね。性別判断の基準は、「付いてれば男」というような、素朴な男根崇拝にあるような感じです。
ラストのところと、女子のように育った子供時代と、そのへんを注意して、オリジナルを読んでみたいと思います。

艶本の世界では、『貝合蛤源氏歌仙貝』の「かたし貝(片瀬貝)」にも変成男子が登場し、駄洒落のような解決法が示されています。

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