伊勢物語俳諧豆男

10/30に書いた業平という美男ないし若衆の話は、『伊勢物語俳諧豆男』という江戸時代の艶本からのものです。在原業平をモデルにした『伊勢物語』という古典のパロディの後半部分で、業平が若衆になってしまうというストーリーです。
前半部分は、古典の伊勢物語の1つのエピソードから発展したようなストーリーになっていて、なかなかロマンチックな話に感動してしまいました。どんな話かというと、井筒という少女の物語です。

業平が子供時代を過ごした里に、井筒という同い年の少女がありました。二人は仲良しで、いつもいっしょに遊んだ遊びは、ままごと、かくれんぼ、そして「こまどり」などです。こまどりは、「かごめ」によく似た遊びです。幼なじみの二人は許嫁の仲でもありましたが、元服になる少し前に、井筒の父親が悪い男にだまされて、井筒は売られていってしまったのでした。
まもなく業平は、奈良の春日の里で元服し、春日屋の「みちのく」という名の遊女と恋に落ちるのですが、この春日屋に、目立ちもせず客もとろうとしない娘がいました。その娘こそ幼ななじみの井筒だったのです。そして二人は感動の再会をします。そのときの井筒の言葉は、ほとんど伊勢物語の和歌と同じです。
 くらべ来し振り分け髪も肩過ぎぬ 君ならずして誰か上ぐべき
元服の何年か前から、幼いおかっぱ頭だった髪を伸ばし始めますので、伸びた前髪を左右に振り分けるようになるのですね。でもまだ子供なので、結い上げることはしません。肩よりも伸びた髪を結い上げてくれるのは、許嫁である君のほかに誰がいましょうか、といっているわけです。いい場面ですね。
そして業平は、みちのくと井筒の二人とも身請けして、めでたしめでたしとなります。

本の絵師は奥村政信ですが、この人は、絵にの俳句や川柳を添えたり、また文筆もすぐれていたそうなので、物語も自分で書いたものと思います。

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