おさのの物語

さるお殿様のお屋敷に、お姫さまのお世話をする"おさの"という腰元がいました。おさのは、年は15〜16歳のお年頃で、腰元に奉公に出たのは、今でいえば結婚前の社会勉強を兼ねた就職のようなものです。交通の不便な時代ですから、働く人は皆、住み込みです。お屋敷とは、職場のようなもので、力仕事をする下男もいましたし、事務方の武士もいました。
その若い武士たちが、おさののことを噂して言うには、年頃なのに浮いた話がちっともないのは不審だというわけです。そこで、一人の武士が選ばれ、まもなく節分なので、節分の夜に鬼のお面をかぶって、おさのの寝室に忍び込んで、言い寄れ、ということになりました。
そして節分の夜に二人は出会ったのですが、いろいろあってから、おさのが言うことには、
「私は誠の女ではありません。母が再婚してから、継父にいじめられないように、女として暮らし、お屋敷へも女として奉公に出ているのです。」
さて、二人はなぜか気が合ってしまって、そのまま蒲団の中へ……。節分の豆のような拾い食い?。一度すんだあとでも、鬼は何度もせがむので、おさのは残りの豆を蒔いて「鬼は外」と叫んで追い返したとか。

江戸時代のある艶本の中の物語なのですが、継父からの仕打ちというのが、当時はよくあったことなのでしょう。前の夫への嫉妬が動機になるのでしょうか。継父または継父のような人と、男の子との関係、その複雑さということでは、現代でも思い当るふしがあるかもしれません。

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