雨降りお月さんのお話

雨の夜は、お月さんも雲の陰にかくれてしまいます。
さいきん昔の童謡をスリラー話のように解釈するのが若い人たちのあいだで流行っているようです。普通の自然現象として人の死を歌にしただけでも、それ自体が生活感覚からかけはなれたことの見えるようになってしまったのかも。
「雨降りお月さん」という野口雨情の童謡は、お月さんがお嫁に行く物語を歌った童謡です。作られた当時から童謡の詩に添えられる絵は、たいていお嫁さんの頭とお月さんが重なって描かれています。http://jin3.jp/kimi/ujo-kashi.htm
 ♪雨降りお月さん、雲の陰
 ♪お嫁に行くときゃ、誰と行く?
2行目は疑問文ですが、だれに尋ねているかといえば、お月さんですよね。お嫁さんの絵は白いものを上から羽織っているものが多いですが、「雲の陰」の雲をたとえているわけであって、白装束(死装束)ではないでしょう。
 ♪一人でから傘さして行く
 ♪から傘ないときゃ、誰と行く?
お月さんは一人に決まってますよね。よく「月が笠をかぶっていると雨が降る」と言いますし、それで傘が出てくるわけです。で、月に傘がないということは、現実は既に雨が降ってるわけです。
 ♪しゃらしゃらしゃんしゃん鈴つけた
 ♪お馬に揺られて濡れてゆく
お嫁さんが馬に乗って行くというのは、大正時代の当時は消え去りつつありましたが、まだ少しは残っていた日本の風習です。最後に現実に戻るわけなのでしょう。

この詩は、もしかすると、ギリシャ神話の太陽が天馬(ペガサス)の馬車に引かれて空を渡るという話がヒントになったのかもしれませんね。お月さまにだって何か乗り物があってもいいんじゃないかしら。それはちょっと地味な普通の馬。そして馬といえばお嫁さん、というのは、江戸時代まで庶民が馬に乗るといえばおおむねお嫁に行くときくらいだったみたいだからなんでしょう。お嫁さんというのは昔は必ず泣くものでしたから、雨がぴったりくるわけです。

後半の歌詞で「急がにゃお馬よ、夜が明けよう」というのは、日が昇ったら月は姿が消えてしまって、目的地に行けなくなってしまうからです。人間なら夜中にお嫁に行くのは変ですが、お月さんは夜のうちしか行動できません。(以上がごく普通の解釈です)

月に関する昔話といえば、かぐや姫とか、月から落ちてきた水が里芋の葉っぱにたまって化粧水になるとか、女子に関する話が多いです。月が「死後の世界」だという話は近代の外国経由ではないでしょうか。

Trackbacks

コメント

< 桃太郎と女の子 | top | はてなブックマークからの「おすすめ」 >