男性体形の無理

元華族の家に伝わる秘蔵の絵というのがたくさん載っている本を見てきました。洋画の影響を受けた日本画という感じで、時代は明治大正ごろ。「秘蔵」というのは要するに…… 男女の交じわりに関する絵なのですが、気になったのは、描かれた男女の体形やプロポーションのことでした。
それは男女とも日本人らしいというか、貧弱で下腹部のたるんだ体形でした。胸のふくらみは男女で違いますが、そのほかは女のほうが肩や肋骨部分がやや小さく、全体がやや小柄な程度です。女性のくびれも少しだけです。男性のくびれは位置は胸から少し下くらいで女性と同じです。
こういうのが当時の日本人の平均的な体形なのでしょうね。肉体労働の人は少し違うかもしれませんが、でも肉体労働の男性だからといって、逆三角形の体形になるとは限りませんし、近代スポーツが広まる以前というのはそういうものなのでしょう。

昔の男性のウエストは、今の人の平均より高い位置にあったわけなのでしょう。それを裏づけるものは、20世紀前半には男性ズボンのウエストが高かったこと。今でも男性用ブレザーの上着のウエストが高めになっているのは昔の体形の名残なのでしょう。
男性の逆三角形体形は、近代ヨーロッパでは理想のように思われた面もあるのでしょうが、みんなが理想通りであるわけがありません。
日本で一番の筋肉の持ち主はお相撲さんですが、昔の肉体労働の男性は、筋肉を使えば使うほど、お相撲さんのような体形に近づいていったのかもしれません。お相撲さんは、おなかの下でマワシを締めますが、下腹部が豊かで、ウエストも高い位置で、といったお相撲さんは今でも多いと思います。そういう点では、筋肉の量の多い少ないはありますが秘蔵の絵の男性像と共通しているわけです。

逆三角形の体形は、特殊なスポーツをしないと作れないんじゃないでしょうか。通常の力仕事ではムリでしょう。ああいう理想というのは、自然のままの女性体形から最もかけ離れたものが男性的だとして「作られたもの」という感じがしますよね。男らしさというのは、いろいろと無理の上に成り立っているものが多いのかもしれません。それがわかっていてやるのも男の哀しさなのかも。

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コメント

まりっぺ : 2009年2月14日 11:02

いろいろファッションについて勉強させられる内容ですね(^^
男性服もしかり女性のワンピースも、19世紀〜20世紀前半までは、ハイウエストだったような気がします。それにハイヒールをプラスすると、脚が長く見えますよね。男性のズボンのハイウエストもそんな感じがします。
今風のズボンは腰で穿くのが主流になっており、ある意味短足に見えてしまいます。女性のワンピースやスカートもハイウエストのものはあまり見かけなくなりました。けれどロリータ服のワンピースだけは未だにハイウエストなんですよ。だからロリータ服は何となくクラシカルな雰囲気がし、流行に左右されずに長く着られるのですよ。

鳩子 : 2009年2月15日 02:08

「ハイウエスト」でぐぐったら、1番のページに十九世紀のエンパイアドレスのことが書いてありました。
戦前のドイツ映画で『会議は踊る』のファッションも少し似てて、ワンピースのウエストが無理にしぼってなくて自然にハイウエストになってる感じでした。
次のページは写真でなくイラストですけど
http://homepage1.nifty.com/Kinemount-P/music1-kaigiha-odoru.htm
エプロン(ウエストから下のエプロン)も、高くしたほうが、衣服を汚さないという実利もあると思いますよね。

男性でもズボンのベルトの上におなかが載っかってるような人は、ハイウエストにすると良いと思いますね

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