髪長彦

芥川龍之介の童話に、髪長彦という「女のような木樵」のお話があります。今は青空文庫でも読めるので、久しぶりに読んでみました。題名は『髪長彦』だと思っていたのですが、『犬と笛』というのが正しいようです。
> 『犬と笛』(青空文庫)
髪長彦が、笛と三匹の犬の力を借りてお姫さまを助け出すお話です。いちばん力を発揮したのは犬よりも笛ですから、音楽の力、芸術の力というわけなんでしょう。

なぜ「髪長彦」でなければならないのか、考えてしまいますが、ラストシーンで髪にお姫さまの櫛が挿さっていたことと関係あるのでしょうか。昔は男も髪を長くして普通は髷などに結って髪を垂らすことはなかったのですが、山伏など市民生活とは違う生活をしていた人の中に、髪を長く垂らしていた男がいて、そういう身分の男子だったのかもしれません。

八俣の大蛇(おろち)を退治したスサノオという神さまは、髪にお姫さまの櫛を挿して大蛇を退治しました。人によってはこれを女装(じよそう)の一種だという人もいます。
戦国時代の武士の絵などでは、戦場の場面では髷をほどいて髪を長く垂らしている武士の絵がよくありますが、これも童謡といえるのかも。

各地の祭礼などで若者が女装する例は多いですが、要するに生まれ変わるためということらしいです。生まれ変わるのだから、男か女かわからないような状態へ戻るのかもしれませんし、生まれ変わるのには別の母親が必要ですから、自分でそれを演じるのかもしれません。

髪長彦は世俗と離れた生活の木樵ですから、毎日毎日生まれ変わることができたのかも。お姫さまと結婚してハッピーエンドになってしまうと、生まれ変わることができなくなるかもしれませんね。結婚の意味を生涯同居という現代風に解釈すると、そうなります。でも平安時代より前は、男が幾晩か通っただけでも女の親が承認すればそれだけで「結婚」ということですから、また山の生活に戻っても良いですし、今まで通りの生活も可能となるわけです。

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