敗者を讃える

NHKで加山雄三特集をやってました。中学生のころの写真がなかなかの美少年。昭和20年代のゆったりとしたズボンに、ハイウエストのウエストがきゅっと細くて……。当時の男性ズボンについては、忘れな草紙の「マッカーサーのベルト」で書きました。その後、同じ時代の吉行淳之介のハイウエストのズボンの写真を見たことがありますが、やっぱり中学生の美少年にはかなわないでしょう。

さて番組で、加山雄三の『海 その愛』という歌の、「海に抱かれて 男ならば たとえ破れても もえる夢を持とう」(岩谷時子・作詞)という歌詞に、最近にはないものを少し感じたわけです。「たとえ破れても」といったリスクのことについてです。
最近の歌は、とにかく「夢をめざしてがんばろう」というだけで、その夢というのもとても不確かで、とにかく永遠にガンバルしかないようなものになってしまいました。どれだけ近づけたかもわからないような「自己実現」の環状線に乗せられてぐるぐるまわっているだけのような……。失敗やリスクのことは、フタをかぶせて見ないようにしてばかり。

「望みが奪われても」とか以前のフォークソングでは、男性の歌は厳しい現実に挑むものも多かったのです。
そして、その結果はどうあれ、挑戦した男たちの勇敢さは、彼らが年老いても、永久に周囲からの尊敬の対象となったのです(ここが重要です)。「老兵は死なず(?)」というわけなのでしょう。
一仕事終わったら田舎に小さな家を買って恋人と暮らそうという古いストーリーの中には、そういうチャレンジと老後のことが前提になっていたわけです。

でも今はそういうことがなくなりました。勇気があっても結果がダメだった人は尊敬されません。なぜそうなったのかはよく分析してみないとわからないのですが、でも敗者をたたえるということは、とても大切なことだと思いました。高校野球の季節でもありますし。

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コメント

まりっぺ : 2007年8月20日 10:34

夢は儚いもの、壊れるもの・・夢が壊れて挫折する。。これって人生においてすごく重要なものだと思っています。挫折によって人は成長しますし、そこからまた新しい人生が待っています。
私も2、3つ夢が壊れてしまいましたが、そのおかげでこうしてネット上やリアルでも鳩子さんやその他の方々とお会いできたのですよ。そのときの結果がベストだったなんて、人間死ぬまで答えは出ませんよね。
最近の勝ち組、負け組みで人を評価する風潮はどうかなと思います。。。

まりゅ : 2007年8月21日 20:29

鳩子さん、こんばんは☆お久しぶりです。

そうですよね…。本当に私もそうだと思います。“勝ち”とか“負け”って一面では云えたとしても、けしてそれが全てではないと思います。わたしは個人的に何事も“勝ち”とか“負け”といって片付けられるものは無いんだ…って、そう思ってます。

以前どこかで読んだのですが“本当に成功したいのなら、失敗は避けて通れない”…と。たくさんの失敗の経験が生きたからこそ、創って行けたんだ…って。
私は20代ですので“勝ち組、負け組”とか“成功者、失敗者”とか“拝金主義”とか…。そういう言葉ばかり聞かされて来た世代かもしれません。
なので余計に今の若い人が“勝ち”って事にこだわって、失敗を認めなかったり殊更に“負け組”という言葉を使ったりするのが嫌だな…と感じてます。

長いかきこみになってしまいました…。ゴメンなさい…。

鳩子 : 2007年8月22日 03:15

そうですね…… さて ^^;
「結果はどうあれ、彼らが年老いても、永久に周囲からの尊敬の対象となった」というのは、若い人にはわかりにくいと思いますが、要するに、個人の人生の選択肢が少なかったので、人生の全てを賭けて一つのことにチャレンジする人が少なくなかったということなんでしょうね。今は命を賭けてまでやらなきゃならないことというのは見えません。

選択肢のようなのがたくさんあるように見えるのは、実は自分の本当にやりたいことが何なのかがはっきりとはわからないということですから、けっきょく挫折を繰り返しながらも人生の厚みを増してゆければ良いんでしょうね。
目的に向かって一直線に歩いてゆかなくても、ときおり道端の草花と一日を過ごすのも良いです。

私もネットを通じて、知り合えたことも多いですし、とても良いものですね。

「勝ち負け」についてはボクシングの、KO負けのようなのは今はあまりないと思います。判定負けでしたら判定の基準が変われば結果も変わるということもあります。

100年以上前、若者は先祖代々の田畑を受け継ぐだけで、あまり人生の選択肢のなかった時代が長かったわけですが、水害を防いだり熊と戦ったり、そんなのが武勇談になって語られたり、ある意味でのんきな時代です。でも、今のように情報も多すぎて選択肢の多すぎる人生しか選べないということは、それ以外の世界を選べないわけですから、本当は選択肢がないのだといえるのかもしれませんね。

マリリン☆ : 2007年9月5日 01:15

鳩子さん お久しぶりです

夏の暑さも峠を越えたとは言え
まだまだ残暑厳しいですね
お元気ですか?


最近の傾向として結果重視は
確かに感じます

どんな分野においても
結果を出さなければ意味がないと
よく耳にします

結果はもちろん大切ですが
私はその過程を重視しております

目標に向かって頑張る意気込み
それが一番かと。。。

そうでないと
頑張る人がいなくなっちゃう

勝っても負けても
一生懸命頑張った

・・・と言う事にエールを送りたいわ♪

鳩子 : 2007年9月6日 01:48

マリリンさん、キラキラ輝いてますね。
プロセスが大事というのはそうですよね。
負けてほめられるのは高校野球くらいでしょうか。
本当はもう少し大人になった年齢で、ああいう経験ができるといいでしょうね。

それと言葉のアヤの問題もあるのですが、「夢をあきらめない」人の中に、ときどき困った人がいらっしゃいます。山口県の晋ちゃんのことですけど、最近は「美しいにっぽん」とおっしゃられなくなりましたね。

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