医療、「ファシズム」

先日、プチうつ状態のときに、Googleで探したキーワードは、「医学ファシズム」。ヒットしませんでした。最近「禁煙ファシズム」という言葉も聞いたことがありますし、まだ「GIDファシズム」という言い方をする人はいないようですが、医学方面はどうなってるのかしらと思ったわけです。でも今日になって「医療ファシズム」でぐぐってみたら、たくさん見つかりました。

池田光穂という人の『患者と国家』というページ。
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/000721natio.html
内容も難しくて毒がありそうですね。
その中で、『社会学事典』から政治学者の山口定氏のファシズム定義を引いて来ておっしゃるには、言われているところの「医療ファシズム」とは1960年代以後の近代医療がずっと批判されて来た問題にすぎないと書いてあります。

あたしの話は微妙にずれて行きますが、そこの「ファシズム定義」に、こんなのがあります。
「3.[体制]後発帝国主義国家で、体制の定着にともなって急進分子が排除され、テクノクラートと技術的近代化がみられる。」
……「後発帝国主義国家」とは先の大戦での日独伊のことを言ってるわけでしょうね。あたしなどから見ると原爆を落した人たちもファシズムじゃないかと思うのですけど。
ファシズムという言葉の意味するところはとてもあいまいです。

池田氏は「私がファシズムという用語を好んで使うのは、……社会科学の分析概念として厳密に用語を使い回ししているのではなく、それを聞く人の感情を逆撫でする戦略的用語であることを了解してほしい」のだそうです。でもよく考えてみると、これまでに「社会科学の分析概念として厳密に用語を使」った人が、はたして何人いたでしょうか。一人もいなかったかもしれません。この言葉は政治の世界に登場したときから「戦略的用語」だったですし、それ以上どのくらいのものになったのか、心もとないと思います。

でも最近はなんとなくファシズムっぽいんですよね。ファシズムとは、宗教ではないのに宗教の悪い部分を全部持ってる感じ。排他的で、選民思想とか、一神教的な宗教のことですね。日本にもそういう時代があったのでしょう。
ファシズムの危機を宣伝するのもまた「戦略的用語」なのでしょうけど、最近のこの鬱々とした気分はなんなのでしょう。

「テクノロジーへの偏愛」、その通りかも。実はフェティシズムには要注意かも。あるいは未来派の問題です。
「社会ダーウィニズム」、こういう言葉があったのを思い出しました。5/11の『トランス系譜学とは』で書いたことは、このことでした。「ジェンダー・ダーウィニズム」だけは勘弁していただきたいですね。

Trackbacks

コメント

まりっぺ : 2007年5月28日 12:28

原理主義?
「ファシズム」を日本語に照らし合わせると、「原理主義」とか「至上主義」がピタッと当てはまるような気がします。そこには本来の宗教観はないものの、こうあるべきという固定した思想・信条を持って他人に脅威的に押し付けるものがあります。
よく、そういう事象をみて「○○原理主義」ってつい言ってしまいますよね。医療原理主義もそうですし、確かGID(TS)原理主義とかもあったような。。。

鳩子 : 2007年5月28日 20:32

至上主義?
理主義もそうですし、至上主義というのもありますよね。
「芸術至上主義」なんて聞くとそんなに悪いものでもないような気になりますが、「芸術」のところに「白人」とか「TS」とかが入ってくるとおかしくなります。
日本だけに見られるといわれる「GID至上主義」のようなものは、「白人至上主義」に似ているかもしれませんね。GIDはマジョリティだと主張して一線を引いたり、それでもそういう人たちへの漠然とした憧憬に縛られている非GIDも多いことでしょう

池田光穂 : 2009年3月26日 15:52

医療、「ファシズム」
私の「毒」?のあるページに関心をもってくださってどうもありがとうございます。たしかに、社会科学者はこれまでも、またこれからも、中立的な科学の振りをしてイデオロギーを振りまいているのもその通り。ひょっとしたら、私は、そういうことからもっと自由になり、科学や医療の現場に、ベタな政治的(あるいは権力的)センスを持ち込んでいるということに自覚的になろうという意図があったのかもしれません(オリジナルの発表は30年近く前ですので……)。

鳩子 : 2009年3月28日 02:38

医療、「ファシズム」
池田様 こんなところまでよくお越しいだたきました。
本文中URLのページ少し再読しましたが・・・、ファシズムのことはよくわかりませんが、
近年のGID論議の中で「性別の自己決定権」という言葉が使われることがあって、わからない言葉でした。「自己決定」というのは安楽死問題のときに出てきた言葉だとわかり、さもありなん、逆説のようですけれど、一方の性に死を宣告するのは安楽死とは言いがたいかもしれないなどと思ったり。
技術偏愛については、肉体改造ばやりの御時世をファシズムの匂いありと発言したら納得してくれた人もあったのですが、技術の中でしか生活できないのも事実で、話がまとまりません

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