医学の進歩のような話

健康についての人々の考え方が、ある時代から変わってしまったというお話です(上杉正幸さんという人の本を参考にした部分があります)。

1960年代ごろまでの怖い病気の代表といえば、結核やコレラなどの伝染病だったそうです。それらの病原菌に感染していなければ、人は健康なのであって、大多数の人々は自分は健康だと思っていたらしいです。

1970年代ごろから、病気の代表は、ガンや脳梗塞や糖尿病などに変わりました。こういう病気には、はっきりした原因は見つからず、「慢性疾患」などと言われるそうです。原因がよくわからないので、生活環境の中で少しでも健康に危険と思われるものを排除したり、または健康食品にとびついたり、健康神経症のような時代になってしまっています。人々は皆、自分は何らかの病気をかかえていると思うようになり、健康な人は一人もいなくなってしまったかのようです。

高校野球の球児たちは試合に出場するために健康診断を受けるそうですが、昔の診断書には「数日間の競技に耐えられる健康な体であることを保証する」と書かれていたのが、今は「検査の時点において異常のないこと認める」としか書かれないそうです。医学は進歩することによって逆に自信喪失に陥ってしまったかのようです。
禁煙治療というのができて、健康保険も適用されるそうですから、一つの新しい病気が発見されたことになります。病原菌をほぼ駆逐してしまった医学の進歩は、今後も次々に新しい病気の発見に邁進していくのかもしれません。それだけが医学の自信回復ではないとは思いますが。
性同一性障害という病気も、このような時代に初めて発見されたものの一つであるということは、肝に銘じておく必要があるのかも。
けっきょく「病気と上手につきあう」しかないわけなのでしょう。

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