伏見天皇襲撃未遂事件

鎌倉時代の末ごろ、伏見天皇という人が、賊の襲撃を受けそうになって、女官姿で逃れたという話があります。賊は浅原為頼を頭目とする武士たちなのですが、その背後関係は、鎌倉幕府の北条氏なのか、のちの南北朝時代の元になったような朝廷内の対立関係なのか、はっきりわからず、事件も未遂に終わったため、あまり知られた事件ではありません。

襲撃者と相対したのは一人の女官です。彼女の機転によって天皇は脱出して難を逃れたそうです。天皇は当時25歳くらい。ふだんの服装は、けっこうきらびやかなものだったような、そういう時代で、女官の服装はもっと目立たない地味なものだったでしょう。「日本史エピソード」にこういう類の話は多いのですが、女装(じよそう)のほうがなんでも派手と思うのは、今の人の思い込みにすぎないのかもしれませんね。

松田修氏によると、天皇を守るのは女官しかいなかったそうです。ふだんから大勢の女官たちに囲まれて暮らすしかないわけで、無防備としかいいようがなかったかもしれません。回りにいたのが女官たちではなく、近衛兵のような男たちだったら、天皇も地味な男装になっていたかもしれませんが、そんな野暮な生活ではなかったようです。
男装も女装も越えたような服装、またはそういうお立場そのものが最大の防備だったのかもしれません。
25歳では当時としては年齢が行きすぎているので、色っぽい脚色も難しいようです。

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