星のイヤリング 3

(2004/12/22のページが消えていたのでここへ復活します)

 月の光がわずかに射しこむだけの暗い夜の湖底に、突然ゴゴーッという轟音が響き渡りました。湖底を進んでいた からす丸の黒い船体は大きく揺すられ、船の中の三人の少年たちは、驚いて一つに抱きついてしまいました。
 船の中央で操縦するサワカ少年に対して、左右から、少女のカレンと、少年のコロニンが抱きついてきたのです。このとき初めて三人のからだが触れ合いました。
 しばらくしてコロニンが窓の外を見ると、白っぽい煙のような筋が横になびくように伸びているのが見えました。以前に見たことのある光景です。それは湖間地底運河のトンネルを抜けてアトヤ駅の方向に過ぎ去って行った、ムーンライト・マリンエキスプレスの軌道上に残された細かい泡つぶの煙でした。
 ──夜行列車が通る時間だったんだ。トンネルが近いとすごい音がするものさ。
 サワカがそう言うと、カレンがうなづきました。
 ──人がたくさん乗れる大きな船が通ったわけなのね。でもぶつからなくてよかった
 すると再びゴゴーッという轟音とともに、からす丸の船体はそっくり白い泡つぶの煙に包みこまれてしまいました。
 ──今度は下り列車かしら、でも煙のつぶって綺麗ね
 コロニンがそうつぶやいたように、たくさんの泡のつぶは湖底のわずかな光を反射して神秘的な光を放ちながら頼りなく浮遊していました。しかし船は視界を泡にさえぎられ、思わぬ場所へと流されてゆくのでした。

(これは「星のイヤリング」第3章の初めの部分になります。こうやって少しづつ書いてゆくのもいいかも)

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