岩波新書の『性転換する魚たち』

 今日は十五夜なのですけど、違う話題。
 岩波新書の新刊『性転換する魚たち』を読んだ感想です。
 はっきり言って期待はずれ。期待したほうが悪いのでしょう。
 性転換する魚で多いパターンは、ベラという魚などで、一夫多妻の群れの中でオスが死んだときに、からだの一番大きいメスが性転換してオスになるというもの。当然メスよりオスのほうがからだが大きい魚です。オスが優位な魚社会の序列の話でした。
 逆のパターンは少しだけ。イソギンチャクに寄生して暮らすクマノミという魚は、メスが大きくて、メスがなくなるとオスがメスに性転換し、他の小さいのはまだオスにもメスにも成熟してなかったのですが、一番大きいのがオスになります。こちらはどのくらいの数の群れになるのか見落としましたが、寄生するわけですからそんなに多くはなさそうです。魚以外の海の動物については書いてありませんでした。
 20年くらい前まではこうした性転換は「種の保存」という観点から説明されてきたらしいのですが、この本の筆者は「個体の生存のため」という観点からしか見ないので、生存競争だとか、「コスト」だとかサツバツとした印象でした。メスで卵を産んで大きくなってオスになってたくさんのメスの卵に精子をかけたほうがトータルで自分の子孫をより多く増やせるとか、でもこういう社会では若死にするメスが多いのを軽視してます。より多くの子孫を残すのが生物個体の目的と語られますが、何千何万の卵が孵化しても、ほとんど大きい魚の餌になったりで、その魚の数は増えないわけです。それでも数をたくさん産ませるのが優秀なオスだという話は、なんか精子的な発想というか……? そう、精子的な見方だけではまだ半分ですよね。
 批判ばかりでごめんなさい。でももうちょっとロマンチックに書けないものかしらね。

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