重心はお尻という話

 ある本に狂言師・野村萬斎インタビュー(『週間朝日』1999年3月19日号)が引用されていました。最近Diaryに書いたいくつかのことを補足してくれるような話なので紹介します。

 野村 このあいだ、朝日新聞に古武道の記事が載ってましたけど、西洋のスポーツは基本的にねじりの構造で、右足が前に出ると左手が前に出る。古武道やわれわれは、(空手のようにグッと腰を落とし、右手と右足を同時に前に出して)こう、同じ方向に動かすわけですね。
 野付 重心のありどころが決まってるから、ふだん立つと、出っ尻ふうというか、(お尻を突き出して)こう、お尻を非常に強調した立ち方になってしまうんですね。能楽師、能狂言に携わる人の立ち方は共通していて、なんとなくトリっぽい。

 「重心のありどころ」というのが小笠原流でいう「腰が本なり」ということなのでしょう。狂言師の場合は滑稽さを強調するためにオーバーになってはいるのですが、こういうお尻を強調したように見える立ち方や動作は、江戸時代までは男女共通の普通のことだったのでしょう。
 昔の絵巻を見ると、平民はみな狂言師のような立ち方をしています。上体を前に傾けて立っていますが今の男性のように猫背ではありません。そして身分の高そうな人は上体を比較的起こして立っています。普段のお尻の動作が身分によって違うのかもしれません。
 現代人は言葉を補うものとして身振り手振りをおもに使いますが、昔はお尻の振り方ひとつでいろんなことを表現していたような気がします。
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